遺言の種類と方法
遺言の種類
● 遺言の方式は民法で厳格に定められており、普通方式と特別方式の2種類があります。
特別方式は、危篤状態であったり、船舶で航行中といった場合などの特殊な状況下にのみ用いられる例外的
な方式です。そのため、一般的に遺言を作成する場合は普通方式が用いられます。
普通方式は、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3つがあります。
■ 自筆証書遺言
自筆証書遺言とは、全文を自分で書く遺言書のことです。容易で費用はかかりませんが、すべて自筆である必
要がありますので、代筆やワープロによるものは無効となります。また、日付の記入がないものや、「平成○年
△月吉日」のように、日付の特定ができない場合も無効となります。用紙の種類や大きさ、筆記具などは自由
ですが、署名と押印は必要です。
■ 公正証書遺言
公正証書遺言とは、法務大臣によって任命された公証人に、遺言の趣旨を口頭で述べ、それに基づいて公証人
が作成する遺言書のことです。公正証書遺言は、字が書けない方でも作成することができ、公証人という法律の
専門家が作成しますので、内容的に不備がなく、また、遺言書の原本を公証人役場で保管するため、偽造や変造
の恐れがないというメリットがあります。作成には2名以上の証人が必要になり、また、公証人への手数料がかか
ります。(手数料は一般的に相続財産が多いほど高くなります。)
■ 秘密証書遺言
秘密証書遺言とは、遺言書の本文はワープロや代筆によるものでも構いませんが、自らその証書に署名、捺印し
て封筒に入れ、その印と同じ印で封印を押します。それを持って2名以上の証人と共に公証人役場へ行き、公証
人に提出し、封書に遺言者本人、証人、公証人が署名捺印して完成します。この遺言書は遺言の内容を秘密にで
きるというメリットはありますが、公証人により遺言の存在を証明してもらった後は、自分で保管する必要がありま
すので、紛失や未発見になるおそれがあります。
遺言作成の流れ〜公正証書遺言の場合〜
おおまかに次のようになります
@ 財産の調査、目録作成 自己名義の財産が全部でどれだけあるか調査します
↓
A 遺言書"原案"作成 誰に何を引き継いでもらいたいか、”想い”を書き出してみます
(この段階で、並行して次項でご案内した「必要書類」をとりそろえてください)
↓
B 公証役場へ遺言書”原案”と必要書類を提出 証人2名以上を手配します
↓
C 公証役場にて遺言書作成 公証人の面前で内容確認、署名押印します
↓
D 遺言書謄本(控え)を遺言執行者などに保管依頼
※ 相続税の発生をご心配される場合は、@Aの段階で専門の税理士さんにも相談することをお勧め します。当事務所からもご紹介することができますのでお申し付けください
お客様にご準備いただく書類など〜公正証書遺言の場合〜
● 市町村役場にて
自分(遺言をする人)の |
□ 出生から現在までの 戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍など |
□ 住民票(世帯全員、省略無しのもの) |
□ 土地、建物の固定資産の 評価証明書 |
□ 名寄帳(不動産を多数お持ちの場合) |
□ 印鑑証明書 |
※ 本籍地の役場へ行って、「遺言の手続きに使うので、ここの役場で管理しているものを全部
ください」と伝えてみてください。このページを印刷して見せていただいてもかまいません
※ 転籍等により、一箇所の役場では揃わないことがあります
受遺者(財産をあげたい人)の |
□ 現在戸籍の謄(抄)本 |
□ 住民票 ※ 住民票は、本籍や続柄等が全て記載されているもの |
※ 事情により、財産をあげる人以外の、相続人全員についても必要とされる場合があります |
● 法務局にて
□ 土地、建物の 登記簿謄本(登記事項証明書)
● その他
□ 預貯金通帳、証券・債権書類、財産に関する一切の書類
★ 事案により、上記以外にも必要となる場合がありますのでご了承ください
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