不動産を生前に贈与する方法
生前贈与とは
● 生前贈与とは、自分が死亡する前に、自分の意思で親近者等に財産を無償で譲り渡すことをいい、
死亡後に血縁者が財産を引き継ぐ相続とは異なります。生前贈与は、相続税対策・相続争いの予防としても
よく活用されていますが、税金・特別受益・遺留分などについて留意して行う必要があります。
● 個人から財産の贈与を受けたときは、贈与税の課税対象となります。贈与税の課税方法には暦年課税と
相続精算課税があり、一定の要件に該当する場合は相続時精算課税を選択できます。
〜ご参考〜 贈与税について
■ 暦年課税
1月1日から12月31日までの1年間に受けた贈与を合計した金額が課税価格となり、課税価格から基礎控除額
の110万円を控除した残額について、贈与税の速算表により贈与税額を計算します。
基礎控除後の課税価格 |
税率 |
控除額 |
200万円以下 |
10% |
― |
300万円以下 |
15% |
10万円 |
400万円以下 |
20% |
25万円 |
600万円以下 |
30% |
65万円 |
1000万円以下 |
40% |
125万円 |
1000万円超 |
50% |
225万円 |
(例)贈与財産の価額の合計が400万円の場合
課税価格 400万円−110万円=290万円 贈与税額 290万円×15%−10万円=33.5万円
■ 配偶者控除の特例
婚姻期間が20年以上の夫婦間で、居住用不動産または居住用不動産を取得のための金銭の贈与が行われた
場合は、基礎控除額110万円の他に最高2000万円まで控除されます。
配偶者控除の特例を受けるには、次の要件にすべて該当し、贈与税の申告をすることが必要となります。
@ 夫婦の婚姻期間が20年を過ぎた後に贈与が行われたこと
A 配偶者が贈与された財産が、自分が住むための居住用の不動産であること、または居住用不動産を取得
するための金銭であること
B 贈与を受けた年の翌年3月15日までに、贈与により取得した国内の居住用不動産又は贈与で取得した金銭
で取得した国内の居住用不動産に、贈与を受けた者が現実に住んでおり、その後も引き続き住む見込みで
あること
※ 配偶者控除の特例の適用は、同じ配偶者からの贈与については、一生に一度限りです。
■ 相続時精算課税
相続時精算課税は、贈与時に贈与財産に対する贈与税を支払い、贈与者が亡くなった時に贈与時の贈与財産の
価額と相続財産の価額の合計額をもとに計算した相続税額から既に支払った贈与税額を控除するものです。
相続時精算課税を選択した場合の贈与税の額は、贈与財産の価額の合計額から、複数年にわたり利用できる
特別控除額(限度額:2500万円。ただし、前年以前において、既にこの特別控除額を控除している場合は残額)
を控除した後の金額に20%の税率を乗じて算出しますので、特別控除額の範囲内であれば贈与税が非課税と
なります。
- 適用対象者: 贈与者・・・・贈与をした年の1月1日において65歳以上である親
- 受贈者・・・・贈与を受けた年の1月1日において20歳以上であり、贈与者の推定相続人である子
(子が亡くなっているときは20歳以上である孫)
- 手続き:
最初の贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間(贈与税の申告書の提出期間)に納税地の
- 所轄税務署長に対して「相続時精算課税選択届出書」を必要書類とともに贈与税の申告書に添付して提
- 出する必要があります。いったん選択すると選択した年以後贈与者が亡くなった時まで継続して適用され
- 暦年課税に変更することはできません。
相続時精算課税制度の選択については、自分(贈与者)の財産の総額を把握したうえで
専門の税理士にご相談されることをおすすめいたします。当事務所からもご紹介できますのでお申し付け
ください
不動産を贈与したときの登記手続
不動産を贈与したときは、第三者に対して対抗要件を備えるために、贈与者(あげた人)から受贈者(もらった
人)へ所有権移転の登記をしておくことが必要です。登記手続きのために必要なものをご案内いたします。
贈与者(あげる人)の |
□ 権利書 または 登記識別情報 |
□ 印鑑証明書(取得後3か月以内のもの) |
□ 住民票 または 戸籍の附票(登記簿記載の住所と現住所が異なる場合) |
□ 土地、建物の固定資産 評価証明書 |
□ 実印 |
□ 運転免許証、パスポート等の本人確認書類 |
受贈者(もらう人)の |
□ 住民票 |
□ みとめ印 |
□ 運転免許証、パスポート等の本人確認書類 |
共通資料として
□ 土地、建物の 登記簿謄本(登記事項証明書) ※法務局にて取得してください |
□ 贈与契約書 または 贈与証書 ※※無い場合は当事務所にて書式を作成します |
|