抵当権などの抹消手続き 〜住宅ローンを完済したときなど〜
難しい(根)抵当権の抹消登記は当事務所へお任せください
● 抵当権等の抹消登記手続きは速やかに行いましょう!
住宅ローン等を完済しても、抵当権の抹消登記をしなければ、返済手続きは完全に終わったとは言えません。
なぜなら、登記をしなければ、自宅等の登記簿には、「まだローンが完済されていない」という扱いでいつまでも
表示され続けてしまうからです。
● この手続きは、不動産所有者自身がしなければならず、銀行等が自動的にサービスではやってくれません。
また、市役所で住民票や印鑑証明を申請するほど簡単な手続きではありません。それをしないでいつまでも
放置しておくと、銀行等の資格証明書の有効期限が切れてしまったり、次に不動産売却をするとき等の妨げに
なったり、次欄で示すような非常に複雑で高コストな手続きが必要になったりすることがあります。
● このページでは、(根)抵当権抹消手続きを、7つのレベルに分類してご案内していますのでご参考に
してください。
なお、手続きの代理を司法書士にご依頼される場合は次のものをご用意ください (レベル1〜3の場合)
□ 抵当権等の解除証書
□ 抵当権等の設定契約書
□ 銀行等の資格証明書
□ 銀行等の代表者からの委任状 ※金融機関から渡されたもの全て
□ 不動産所有者の 認め印
□ 不動産所有者の 運転免許証、パスポート、保険証等、ご本人様確認ができる書類
□ 不動産所有者の住所に変更がある場合は 住民票または戸籍の附票
レベル1 自分でできるかも!?
ごくシンプルな住宅ローンの抹消登記であれば、登記申請書の書き方を不動産登記の参考書やインターネッ
トで調べて、管轄法務局へ何回も足を運ぶことを厭わなければ、自分でできるかもしれません。”シンプル”の
目安は、つぎのとおりです。
@ 自宅の住宅ローンを完済した時。
A 借りた時と現在で、銀行(金融機関)の名称や本店所在地に変更が無いこと
B 自分(不動産所有者)の現住所が、登記簿に書かれている住所と同じであること
C 借り換えや、直後に不動産売却の必要がないこと。つまり、急ぐ必要がないこと
D ローン完済時に銀行等から渡された書類を紛失していないこと。資格証明が有効期限内であること
しかしながら、昨今は銀行(金融機関)の名称変更や合併・組織再編も多く、一般の方がスムーズにできる
シンプルな場合は少ないかもしれません
レベル2 借りた時と、銀行の名前が変わっている!?
● 住宅ローンなどを借り入れた時と、完済した現在とで、銀行等の名称や本店所在地が変更しているとき
は、借入当時と、現在の名称や本店所在地の変更履歴を証明する登記事項証明書を取得して添付する必
要があります。多くの場合は、ローン完済時に銀行等から渡された書類の一部に含まれていますが、登記事項
証明書中のどこにその変更の履歴が書かれているかは、登記簿の読み方に慣れていない方にはちょっと難しい
かもしれません。また、登記申請書中の添付書類欄に「変更証明書」と加筆することが必要です
● なお、名称変更や本店所在地変更の理由が銀行等の合併・会社分割等による組織再編による場合は、抵当
権抹消の登記申請書に前項で説明した変更証明書を添付するだけではだめで、前提登記として銀行の合併等
による(根)抵当権移転手続きも必要になります。その場合ですと、一般の方が自分で登記手続きを行うのは相
当難しいと思われます
レベル3 借りた時と、自分の住所が変わっている!?
● 登記簿の所有者事項(甲区)に記載されている不動産所有者の住所が、現在の住民票上の住所と異
なっているときは、抵当権抹消の前提登記として所有権登記名義人住所変更登記申請が必要となります
(同時申請可能です)。もしもその所有権登記名義人住所変更登記申請をしないまま、いきなり抵当権抹消
登記申請をしても、手続きが却下されてしまいます。所有権登記名義人住所変更登記の申請書には、住所
変更の証明書として住民票や戸籍の附票を添付します。
【困難事例】 住民票や戸籍の附票に、借入当時の住所が載っていないとき
住民票や戸籍の附票には、記録の保存期間が設定されていますから、ローンの借り入れをしたのが相当以
前だったり、転勤や引越しが多くて何度も住所移転をしている場合は、住民票や戸籍の附票では、お客
様の住所変更の完全な証明とならない場合があります。そのような場合は、その不動産が間違いなくお
客様のものであることを法務局に疎明するために、不在籍・不在住証明書、戸籍謄本や改製原戸籍、
過去3か年度分の固定資産税の納税証明書や評価証明書、不動産の権利書に、印鑑証明書と、
実印を押した法務局への事情説明書(申述書)が必要となります。
↓↓ ※ おせっかいです
不在籍・不在住証明や納税証明書の取得などは、それなりに手間がかかりますし、事情説明書(申述書)
の作成などもある程度の専門的知識が必要となります。おそらく、それらの作業をお客様がご自分ですると
なると、ああでもないこうでもないと複数の役場間を何度も行ったり来たり、書類の作り直し等、相当のストレ
スが発生すると思います。このようなレベルになったら、司法書士にご依頼されることをおすすめします
レベル4 借り換え、もしくは不動産売却の場合
● 有利な利率の金融機関や金融商品への借り換えに伴う抵当権抹消登記や、不動産売却の前提としての
抵当権等抹消登記であるとき、多くの場合、同時に新しい抵当権等の設定登記申請や売却による所有権
移転登記申請が行われ、それらは、失敗することが許されません。
● 借り換えや不動産の売却処分にあたっては、それらのことが確実に登記されることを前提に融
資の実行や売買代金の受渡しが行われますから、一連の作業として、相手方(金融機関や不動産の
売却先)の事情も考慮して登記申請代理人として司法書士を利用する場合がほとんどです。
レベル5 銀行から渡された書類を失くした!
● 住宅ローンなどを完済したが、抵当権の抹消登記をしないまま長期間放置していたような場合、金融機関
か引き渡された 抵当権解除証書や抵当権設定契約書、登記用委任状 などを紛失してしまうことがありま
す。抵当権等の抹消登記手続きには、それらのものが必要です。最悪の場合は、銀行などに対して抵当権
抹消登記請求の裁判をやらざるを得なくなり、大変なことになってしまいます。
どうすればいいのか?
□ まずは、銀行等に対して、抵当権解除証書や登記用委任状などを再発行してもらえるよう、
お願いしてみましょう。本人確認や事情聴取、銀行内部の事務手続き等により、少々日数や手間・費用
がかかるかもしれませんが、再発行に応じていただけることが多いです
□ ただし、「抵当権設定契約書」は、この世に一つしか存在しないものなので再発行はされませんから、
その代わりに、銀行等の代表者の印鑑証明書が交付されることになります
□ 「抵当権設定契約書」が無いことにより、この場合の抵当権抹消登記申請の際は、法務局によって二重
のチェックがされるしくみになっていますので、手続きの完了までに通常より多くの期間を要することにな
ります。
レベル6 不動産の名義人が死亡している
● 死亡した人は、抵当権等抹消の登記申請書に署名押印ができませんから、抵当権抹消登記申請に先立
って、相続人への所有権移転登記申請をしておく必要があります(以前と取扱いに変更がされました)。
● 「相続人への所有権移転登記申請」は、遺言の有無や遺産分割協議の状況などによってスムーズに実
施することが難しいことがよくあります(概要は、本サイト内の「名義書換」ページをご覧ください)。
レベル7 何十年も昔の抵当権が残っており、相手が行方不明
いわゆる”休眠担保権”の抹消手続き
登記簿の乙区(所有権以外の権利事項欄)に、
何十年も前に(例えば、昭和前半や、明治・大正時代など)登記された、
見も知らずの人が債権者として登記された抵当権が残っているまま
ということが時折あります
このままでは、形式上、自分が借金を返していないことになってしまい、
その土地を売却したり、新たに銀行借入の担保にしようと思っても、それが障害になり困ったことに
なってしまいます
↓↓ 解決方法
このような場合、債権の弁済期から20年を経過した抵当権などで、
相手方が行方不明であることが証明できれば、
供託制度を利用して抵当権等の抹消手続きをすることができます
※ 行方不明の証明書の取得手続きは相当の専門性があり、また、供託金の計算方法などは複雑で
非常に細かい作業が必要となりますので、このようなレベルになったら、実績のある司法書士にご依頼
した方がよろしいかと思います
|